解説と視聴(新しい順)

私がドイツ・オーストリア系の曲をアップロードするのは、バッハを除いて初めてではないかと思う。この曲は、歌劇「魔弾の射手」やピアノ曲「舞踏への勧誘」で有名なウェーバーの作品で、面白い曲ながら、先に挙げた曲に比べて極端に演奏の機会が少ない、また吹奏楽用に編曲してみたいという衝動に駆られるという点で今回取り上げてみた。曲は、スペイン風の曲、可愛らしい行進曲、ウェーバーらしいまとめの曲の3部構成になっていて、いずれも後を引く美味しさだ。吹奏楽に編曲する場合、1音落としてト短調ー変ロ長調にして確実な響きと運指の楽さを求めることなく、原調であるイ短調ーハ長調として明るい響きを求めたい。スウィトナーの演奏は、カール・ベームのそれと比較してテンポが若干遅め、古風で思い入れが強い感じがするが、それはある意味、味のある演奏と言い換えることができる。曲の長さは8分程度と飽きる間もなく過ぎていく。吹奏楽コンクールの自由曲サイズね。


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 https://youtu.be/GVCqCgQ6rbs



重(おも)ーい交響曲の代表をブルックナーとするなら、軽(かる)ーい交響曲は、わたしならまずミヨーのこれを筆頭に挙げる。一聴すればわかることだが、そもそも交響曲というもののコンセプトがまったく異なるので、比較すること自体愚かなことだが。ここで紹介する曲は、日本の民謡の「えーんやこーらーどっこいしょー」のリズムに、トロンボーンがこれでもかこれでもかと言わんばかりに咆哮し、そこにヴァイオリンの泣き節がトレモロ(同じ音をイイイイイイイと震わしながら弾く奏法)で乗っかるという、ここまで正々堂々と俗っぽさを表出させるかと思う第一主題部があり、続く第二主題部はそれとは真逆な爽やかで透明感あるメロディーが流れていき、ところどころ志村けんの「変なおじさん」の歌(ハイサイオジサンのことね)を想起させるメロディとリズムが顔を出す。正攻法な和声などクソくらえ的な態度を貫き、この二つの部分だけですべてを作り上げてしまう、これこそミヨーの醍醐味、フレンチですよフレンチ。ドイツものが好きなクラシック音楽ファンにはお口に合いますでしょうか。雑食性のわたしには大好物の一曲。


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https://youtu.be/MzMHNn0m-E0

オーケストレーションでも定評のあるニコライ=リムスキー・コルサコフによるオペラ=バレエ。この中でも、今回紹介する「貴族たちの行列」(訳によっては貴族たちの行進)は特に有名で、吹奏楽に編曲され、単独で演奏される機会も多い。V.Runovの編曲によるこちらの演奏は、オーケストラの原曲のイメージを損なわないよう意識し、威風堂々とした様はタイトルそのものを彷彿とさせ、伝統美を重んじた素晴らしいものとなっている。ちなみに、この吹奏楽版への編曲の正反対に位置するのが、日本の作曲・編曲家:鈴木英史(えいじ)氏による編曲である。彼は原曲を忠実に再現することにはあまり重点を置かず、むしろ吹奏楽の更なる可能性を探りながら、音楽そのものを心地よく聴けることに心血を注いでいるように感じられる。今回は相対するベクトルを比較してもらうため、それぞれのYouTube動画を用意した。上がわたしの推薦する旧ソ連の実直な演奏、下が華麗な鈴木英史ワールドである。立ち位置が違うとここまで響きが異なるその差をみなさんには楽しんでもらいたい。


旧ソ連の伝統的な編曲版



日本の作曲家・鈴木英史氏による編曲版


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 https://youtu.be/4tza8yHgN20

歌劇の原作はトルストイの『パウリーネ・ガイベル』。デカブリストの乱を舞台にした歌劇だが、殆ど演奏されることがない「薄れゆく歌劇」のひとつ。G.Kalinkovichによる編曲はあか抜けせず、それがかえって戦いの行進を彷彿とさせるのは憎い演出。この行進曲もあっという間に終わってしまうのがもったいない。演奏は軍楽隊っぽく泥臭いのが面白い。


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 https://youtu.be/ElCqcr3RG2A

オペラ「三つのオレンジへの恋」の中でもこの曲は、演奏会で単独で取り上げられたり、アンコールで演奏されたりする最もポピュラーな曲で、今回紹介するのは吹奏楽用に編曲したもの。演奏するボリショイ劇場吹奏楽団のうまさが光り、決してオーケストラの演奏に引けを取らないのは見事。物語は、重いうつ病にかかり、笑うことのできなくなったの王子の王位継承を快く思わない姪たちが送り込んだ魔女がこけてしまうのを見た王子が、思わず笑ってしまったことから始まる。最後はハッピーエンドなのでどうぞ安心してお聴きください。曲の長さは、あっという間の1分43秒。編曲は、A.Kleshchenko、いい仕事してますね〜。



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 https://youtu.be/F7nDMeDCSXo

仮面夫婦の主人公カテリーナが下男にレイプされ、しかし二人の間に愛が芽生えるもこの愛は最後には裏切られ、主人公は自殺してしまうという、衝撃のオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」を手直しした作品がこの「カテリーナ・イズマイロヴァ」。間奏曲(アントラクト)にはそういった性暴力や殺人を想起させるような動機や悲壮感などはなく、ショスタコーヴィチらしい洒脱で軽快な短いマーチに仕上がっている。演奏はV.Zhukovによる吹奏楽編曲版。


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 https://youtu.be/qTa8k4DDmV4

曲はキリスト教の主顕祭前夜のバカ騒ぎを描いており、喧騒とした光景の中に、踊る人々、手回しオルガンの演奏、それをさえぎる酔っ払い、泥棒などの動機が次々に現れ、最後はローマ人の気概をテンポよく高らかに歌い上げ、曲は混沌の中にあって見事な調和で終わる。もとは弦楽器も加わったオーケストラの難曲だが、指揮の吉永陽一先生による編曲のうまさもあって、兵庫県立兵庫高校吹奏楽部が最高のパフォーマンスを披露。今から37年前(2017年現在)の演奏にもかかわらず、その技術、スタイル、心意気は現代のレベルに引けを取らず、聴く者の心をとらえて離さない。吹奏楽による主顕祭では、わたしのいち押し。



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 https://youtu.be/YM1i_z6qpBs

タイトルは、中国では非常におめでたい文字、双喜紋(そうきもん)、しかし日本語に訳しづらいので、英語表記を付してみた。曲は台湾の民謡調ポップス。歌は私の好きな台湾の歌手、楊芳儀。歌詞は台湾語で私にはわからない(文字を見てなんとなくわかるがわからない語彙もあるので意訳もできず)が、明るくコミカルな歌は、聴いていてなんだかウキウキしてきて、元気がもらえること請け合い。


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https://youtu.be/5UreLAG34MQ

イギリスのちょっと前の作曲家、ベンジャミン・ブリテンの小品。短い5つの楽章からなる。主題はウィリアムテル序曲でおなじみのイタリアの昔の作曲家、ロッシーニからとっているので、非常に聴きやすい。オーケストレイションもいつものブリテン風でうまくできているため、さらにこの曲を吹奏楽用にアレンジして演奏されたりもする。今回はバレエ音楽を得意とするボニング指揮の、洒脱で爽快な演奏でぜひ楽しんでいただきたい。5曲で9分半。




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https://youtu.be/PmZdKwNu-Pk

日本では2009年に爆発的人気となった村上春樹氏の小説「1Q84」に登場する音楽で、これを読んでこの曲を知ったハルキストたちも多いと聞く。クラシック音楽界ではつとに知れたレオシュ・ヤナーチェクの名作で、演奏時間約25分、5つの楽章からなる。今回はその中でも一番重要な動機である第一楽章アレグレット(ファンファーレ)を掲載した。このメロディはヤナーチェク独特の遠心的な表現法を以て、最終楽章のそれも最後の部分で初めて完成するという扱いが非常に面白い。色々な指揮者が色々なオーケストラで演奏・録音しているが、その中でもわたしが演奏スタイルと技量に魅了されたノイマン&チェコフィルによる演奏をアップロードした。2分ちょっとの小曲なので一気に聴いてみたい。


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https://youtu.be/KVVnmpoxydE




吹奏楽ではドナルド・ハンスバーガーの編曲でおなじみのこの曲、変イ長調で演奏されているが、原曲は管弦楽で嬰イ長調で1音高い。わたしはフルート・ピッコロの経験者なので、ピッコロの運指でいえば、吹奏楽版はとても楽でこのオケ版だととても気持ちがいい。今回紹介する演奏の指揮者スヴェトラーノフは、ソ連時代にもソヴィエト国立交響楽団でこの曲を録音しているが、この時のスピード感と突出感は中途半端なものではなかった。この演奏ではある意味残念だが、それらはなりをひそめて落ち着いている。それでもアップテンポでのイケイケ感は健在。いいねぇ。よくあるピッコロ突出の録音ではないので、聴き慣れなくて一瞬「あれっ」っと思ったりするが、ライブで聴けば逆にこの聴こえかたが普通なのかもしれない。演奏はロシア国立交響楽団とボリショイ劇場管弦楽団金管セクションの合同演奏。ソヴィエトが崩壊してロシアとなってまだ混乱が残る時期の録音。現時点でYouTubeでは初のアップロード、聴くしかない!




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 https://youtu.be/jUkmOke9zR0


ダイナミックな構成ときらびやかな響きを持つ作品がもてはやされる昨今の吹奏楽。そんな傾向とは正反対の曲の代表格がこれ。5曲からなるこの組曲は、親しみやすいフランスの民謡を題材に、いろんな仕掛けをほどこしていて、ホールで聴くよりレコーディングされたもので聴くほうがずっと面白い。YouTubeを調べてみたが、おそらくこの曲でこの楽団の演奏は世界初アップロードかと。録音は1974年と古いが音はよく、演奏も当時としてはなかなかなもの。指揮:イヴォン・デュセーヌ少佐、演奏:ベルギー・ガイド吹奏楽団。



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https://youtu.be/n-f-hDcIaxA